他業界から保険業界に新規参入するには?!

他業界から保険業界に参入する方法は大きく分けて4つあります。

具体的には、保険会社を新規設立する方法・保険会社に新しい保険をつくってもらい、それを保険代理店として販売する方法・保険代理店として既存の保険を扱う方法・保険代理店/募集人と連携する方法です。

それぞれの方法をご説明いたします。

 

保険会社を新規設立する方法

まずは、保険会社を新規設立する方法です。

この方法は、非常にハードルが高く、十分な資金力が求められます。

保険会社を新規設立する場合、通常の保険会社とするか、少額短期保険とするかの2通りがあります。

 

通常の保険会社

通常の保険会社を設立するには、保険業法に定められている通り、以下5つの書類を金融庁に提出し、金融庁担当者との折衝を経て、内閣総理大臣の認可を得ることが求められています。

  1. 定款
  2. 約款
  3. 事業方法書
  4. 保険料および責任準備金の算出方法書
  5. 事業計画書

また、資本金は最低10億円以上なければなりません。

これだけの手続きと基準を考えても、通常の保険会社を一企業や個人が設立することは現実的ではありません。

 

少額短期保険

通常の保険会社を新規設立するのは非常に困難ですが、通称”ミニ保険”と呼ばれる少額短期保険会社を設立する方法があります。

最低資本金は、1000万円になり、免許制ではなく登録制になりますから、設立の難易度は下がります。

 

ただし、作れる保険商品の種類には制限があります。

まず、保険金額(万が一の時に支払う保険金額)の上限が存在します。

◯少額短期保険業の保険種類別保険金額の上限

No. 保険の種類 保険金額の上限
1 死亡保険:人の死亡に関し、一定額の保険金を支払うことを約する保険 300万円
2 第三分野保険のうち、傷害を受けたことを直接の原因とする人の死亡を支払い自由とするものを除いた保険 80万円
3 重度障害保険:人の重度の障害の状態に関し、一定額の保険金を支払うこと又はこれらによって生ずることのある当該人の損害をてん補することを約する保険 300万円
4 特定重度障害保険:No3の重度傷害保険のうち、傷害を受けたことを原因とする人の重度の障害の状態に関するもの 600万円
5 傷害死亡保険:第三分野の保険のうち、傷害を受けたことを直接の原因とする人の死亡を支払事由とするもの 300万円
6 損害保険 1000万円
7 低発生率保険:No6の損害保険のうち、特に保険事故の発生率が低いと見込まれるものとして、個人の日常生活に伴う損害賠償責任を対象とする保険(自動車の運行に係るものを除く) 1000万円

出典:「詳解 保険業法」吉田和央弁護士 一般社団法人金融財政事情研究会

 

また、保険期間についても制限があります。

生命保険・医療保険の場合には1年まで、損害保険の場合には2年までです。

 

年間収受保険料は50億円を超えてはなりません。

少額短期保険業者の引き受けるリスクを制限するために、その引き受ける保険期間・金額・種類に加え、事業規模にも制限が加えられているわけです。

 

以上を踏まえると、通常の保険会社に比べれば、少額短期保険の設立は容易です。

しかし、顧客の求めている保険金額や保険期間で保険を作れるかどうかを確認しましょう。

 

 

保険会社に新しい保険をつくってもらい、それを保険代理店として販売する方法

保険会社にならず、既存の保険会社に新しい保険商品を作ってもらう方法もあります。

保険代理店になる方法はこのサイトの開業ノウハウを参照してください。

保険代理店の開業ノウハウ

十分な顧客基盤があれば、保険会社に保険商品を作ってもらうことも可能です。

ただし、全く新しい保険商品を一から作るには最大で2年ほどかかりますので、かなりハードルが高いです。

既存の保険商品をカスタマイズしてできる商品であれば、場合によっては半年〜1年ほどでできる可能性があります。

特に損保系の商品であれば、短期間で保険を作れる可能性もあります。

 

保険代理店として既存の保険を扱う方法

これまでは新しい保険を作ることを念頭に置いてきました。

ただし、既存の保険でも良ければ、比較的簡単に保険の販売を開始することができます。

既存の保険商品を扱う方法の1つが保険代理店になることです。

保険代理店になる方法は本サイトの開業ノウハウの通りです。

保険代理店の開業ノウハウ

会社の設立から保険販売の開始まで、多くの場合4ヶ月ほどはかかります。

スケジュールを考慮して、保険代理店立ち上げ計画を立てましょう。

 

保険代理店/募集人と連携する方法

保険代理店になるとしても、保険の販売手法を習得する難しさがあります。

保険営業の経験が全くない状態から、様々な保険商品を理解し、ライフプランニングの方法や保険のクロージングの仕方を覚えなければなりません。それには、それなりに時間をかけて、従業員を育成する必要が出てきます。

一方で、保険の販売手法を教育できるような経験のある営業マンを採用する必要もあります。

こういった保険販売にかかる初期投資が困難であれば、他の保険代理店や保険募集人と連携する方法もあります。

連携する方法は、更に2つに分けられます。

1つ目は、保険代理店になった上で連携する方法です。

2つ目は、保険代理店にならずに連携する方法です。

いずれにせよ他社に販売を代行してもらう形になりますから、手数料は他社と分け合う形になります。

保険代理店になるかどうかで、手数料の分け方が変わります。

保険代理店になる場合には、約半分ずつに手数料を分けることも可能です。

ただ、保険代理店にならずに連携する場合は、他社に7割ほどの保険料が渡る形が一般的です。

 

 

これらの手法を比較し、初期投資や保険販売開始後の収益性を考慮して、参入方法を決定しましょう。